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歌田明弘氏の最新エントリー『日本のネットを作ったもの――オタク文化とウェブ』 http://blog.a-utada.com/chikyu/2006/12/post_be0f.html で、村上隆『リトルボーイ:爆発する日本のサブカルチャー・アート』展が取り上げられています。
公式サイトとカタログにリンクが張られているけれども、いまひとつ解りにくい。

歌田氏が以前書いた紹介も有るけれど…
大日本印刷株式会社のアートスケープ/artscape
http://www.dnp.co.jp/artscape/artreport/it/u_0509.html

詳細なルポならば、こっちを紹介した方がいいのではないか?
AIDE新聞:コミケカタログ69出張版
http://www.kyoshin.net/aide/c69/index.html

村上隆の「リトルボーイ」は、戦後日本オタク文化を「原爆史観」で斬る、といったものだ。 
これの評価はかなり微妙。 
それに輪を掛けて、歌田氏のネットとオタクの関係の論じ方も、かなり強引。
長年「仮想報道」を連載してきた人が書いたものとは思えないくらい、荒っぽい。

歌田氏は『われわれはみな「隠れオウム」の容疑者』を書いて以降は、コメント欄も、TBも閉鎖している。
http://blog.a-utada.com/chikyu/2006/06/post_4d6d.html
歌田氏はこのエントリーの「大炎上」以降は、日本のネットにおける「炎上」と「ネット右翼」についての考察をテーマとしているようなのだが…、最近はあまりにお粗末になりすぎているのではないか。

とりあえず、ちょっと前のエントリーから批判を始めます。


ネットでケンカに勝つ方法
http://blog.a-utada.com/chikyu/2006/11/post_5790.html

このエントリーはアルバート・ラズロ・バラバシ 著 「新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く」 
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4140807431/
を元に、2004年米大統領選挙と福島みずほ発言炎上を考察している。

「ブッシュ勝利の背景にあるネットのリンク構造」と題して、以下のように書いている。

 ネット上のリンクの張られ方というのは些細なことのようだが、運動や思想の広がり方に思いがけない違いが出てくる可能性がある。ブッシュ大統領は、妊娠中絶反対派の支持を集めて大統領選挙を勝ち抜いたが、その背景には、こうしたネットの力学も多少は関係していたかもしれない。


これには、かなり驚いた。 これではまるで共和党がネット戦術で民主党を圧倒していたみたいではないか。
この大統領選挙の「ウェブログ選挙」という側面をルポしてきた人とは思えない分析だ。
SNSのことも取り上げているのに…

カテゴリー:2004年アメリカ大統領選挙
http://blog.a-utada.com/chikyu/cat1827211/index.html

共和党が、ネットで盛んにリンクを張って活動している妊娠中絶反対派に対して、何らかの働きかけをしたのだろうか?
妊娠中絶反対派が、ブッシュ再選のために選挙活動をしていたのだろうか?

「多少は関係していたかもしれない」というのでは、何も分析してないも同じことじゃないのか? あまりに根拠不足だ。

共和党は、たしかにキリスト教右派層を取り込むことを目指していた。

ブッシュ陣営の選挙対策の責任者であるカール・ローブ(KarlRove)大統領政治顧問によると、前回の2000年大統領選でおよそ400万人のキリスト教保守派の有権者が投票を控えたため、ブッシュ大統領は一般得票数でアル・ゴア(AlGore)民主党元副大統領に敗れたのであった。そのため、ローブ氏はこれらの有権者との関係を一層強固なものとすることが、ブッシュ大統領再選の必須条件であると考えていたのである。

[PDF] 2004年米大統領選挙と「道徳」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/223/022306.pdf


しかしその方法はネットがメインではなく、教会や家族・親戚などのネットワークを使った泥臭い草の根運動だったはず。

選挙前の世論調査では共和党の方が勢いが有ったのではないか?
たとえば、プリンストン大学の分子生物学教授が運営している世論調査のメタ分析。
http://election.princeton.edu/

マイケル・ムーアの映画や本のことが、マスコミでは連日取り上げられてもいた。
日本のマスコミだけを見ていると、「ブッシュ・ブッシュ支持者は知能・知性が足りない」というムードが、アメリカには有るようにも見えていた。
しかし2004年はブッシュが「圧勝」した。

CNNの出口調査
http://www.cnn.com/ELECTION/2004/pages/results/states/US/P/00/epolls.0.html
これを、もっと精緻に分析する必要があるのではないか?


そもそも、歌田氏のエントリーの根拠となっているバラバシ氏のリンクに関する研究「蝶ネクタイ理論(Bow-tie Theory)」は、1999年当時のwebを対象としている。 
これはblogやSNSがまだ一般化する前の研究だ。
Google創業は1998年。 検索サイトはいろいろ有ったが…今ほど凄くはなかった。
掲示板もいろいろ有ったけれど、巨大となった2ちゃんねるはまだ誕生していない。
アメリカのITバブル崩壊が2001年。Movable Type の登場も2001年
つまりweb1.0時代の分析だ。
これを元に2004年の米大統領選挙や現在の日本を考えるのは、あまりに無理がある。


blogの普及が画期的だった理由は3つ。
双方向性を持つトラックバック、RSS配信、検索エンジンとの親和性(SEO)が高いこと。
これによって、情報の経路が大きく変化していった。
もっと最新の研究を参考にするべきだろう。 アメリカの最新研究を、ネットで探していないのだろうか?


現在の日本のネット事情についての図式は、以下でいろいろ考察されています。

2. 倫理研第4回: 加野瀬未友 講演(2)
http://ised.glocom.jp/ised/07020514
ここでは「2ちゃんねるモデル・まとめサイトの重要性・ブログモデル」という形で図解されています


ブログを巡る情報集積・共有、対応行動の概要モデル
http://s03.2log.net/home/singbrain/archives/blog168.html
ネットの「速さ」と「パワー」の威力とは何か:ネット右翼問題を題材に
http://www.policyspace.com/archives/200503/post_335.php
http://www.policyspace.com/2005/03/post_398.php

少数の有力なブログ(良質な記事を更新しており、固定客が大勢居るサイト)にはリンク関係が集中する傾向がある。つまりオピニオンリーダーとなる、ハブ的な役割を担うブログが存在することが分かってきた。


これはつまり、本来の学術的意味での2005年当時の「アルファブロガー」論。
非常に雑な表現するなら「2chで晒されて炎上する時代は終わり、切り込み隊長が放火する時代になった

オンライン・オフライン活動についての考察も有ったりする
「エージェント・スミス祭り」「吉野家オフ」などについて論じられてる。

わくわくさん!?わくわくさんなのね!?
http://nullpo.2log.net/home/sickmaster/archives/blog/main/2005/01/31_174303.html

これが発展して、以下のようになった。

歌う脳髄 :オン・オフ活動分類図を視覚化してみる
http://s03.2log.net/home/singbrain/archives/blog166.html


これらは2005年当時の分析。
しかし、2006年はまた変化しつつあるようにも思う。
夏頃までの「ことのは問題」は、まだ2005年当時の分析でいけるかもしれないと思うが、秋以降はちょっと様相が変化しつつあると思う。

日本版オーマイニュース炎上にいたっては、「2ちゃんねる」という言葉が飛び交ってはいるけれど、実際問題として2ちゃんねるでは、それほど盛り上がっていない。
ハブとなっているサイトもないし、特別に煽っている人もいない。
むしろ「はてなブックマーク」「wikiの編集合戦」の動きをもっと注目するべきだろう。
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