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魯迅を何となく読み返す。

 ニイチェは、血で書かれた書物をよみたがった。 だが、血で書かれた文章というものは、たぶんないだろうと私は思う。 文章は所詮、墨で書くものだ。 血で書かれたものは、血痕にしか過ぎまい。 むろん、それは文章よりももっと感動的であり、もっと直裁的ではあろうけれども、しかし色が変わりやすく、消えやすい。 この点は、なんとしても文学の力に頼るほかない。 それはちょうど、墓の中の白骨が、古往今来、その永久性をよりどころにして、少女の頬のうすくれない色を軽蔑するのと同じことだ。

魯迅評論集 竹内好編訳(岩波文庫)「どう書くか」より



最近は、墨はもちろんノートに手書きという機会が大幅に減ってしまったなぁ。

以下は、有名な「水に落ちた犬を打つ」という言葉の元になった「フェアプレイはまだ早い」の原文です。
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月刊プレイボーイ5月号連載 森達也「A3」に早川紀代秀の手紙が載っています。

森氏の要約

 最新の「A3」で話題にしておられる二冊の本のうち、『黄泉の犬』は知人が貸してくれましたので私も読みました。言われてみれば、水俣病やその関連について、もっと早く気づいてもよかったはずなのですが、教団にいるときはもちろん、逮捕されてからも、まったく思いもよらないことでした。
 もちろん本人からそのようなことを聞かされたこともありません。 水俣病のこともそうですが、お兄さんを教祖とすることを考えていた時期もあったと知って、これも驚きでした。
 87年のエアータイトサマディのときも、ご両親は来られましたがお兄さんは来られませんでしたし、お兄さんのことはまったく話題にされたことがありませんでしたから。
 この他、私の個人的なことですが、私の名前が二ヵ所出てくるのですが、そのどちらも不本意なもので、その点は残念に思いました。いずれも著者の責任ではないのですけれどね。
ひとつは50ページの「早川ノート」というところです。 これは「岐部ノート」の誤りです。 警察が誤ってマスコミに流したのが原因のようですが、警察もその後、訂正をしてくれません。
もうひとつは、75ページのお兄さんの話で、「早川という男が教団に入ってきて智津夫の態度が急激に変わった」というところ。 そんなことはありません。 私にはそこまでの影響力はありません。


水俣病の話がとても衝撃的でした。
「やっぱりそんなことがあったんだなあ」と納得する面もあります。……変に思われるかもしれませんが、無性に胸が痛みます。……哀しいですね。
一度、松本氏と弟子十数人と共に、松本氏の実家に行ったことがあるのですが、そのときにみんなの食事用にハマグリが用意されていたんです。 バケツ半分くらいあったように思います。
それを知った彼は、ハマグリだけは料理させずに、そのまま(生きたまま)貰い受け、帰りの道すがらに、近くの海にばら撒きました(実際にばら撒いたのは私たち弟子ですが)。
そのときは、「生殺をさせないためにそうしたのだろう」と思っていました。  しかし(「A3」にも毎日寿司を食べに行っていた船橋時代のエピソードが載っていましたが)寿司を食べに行くと、彼は目の前で生殺させることになる赤貝や帆立貝などの貝類も注文することがありました。
 ……そんなことが、走馬燈のように次々と思い浮かびました。




今回の連載は早川紀代秀本人のことや、「早川ノート」についての考察でした。 
半分以上が他の本からの引用。 (最近の連載は、すっとこんな感じだ)


私にとってオウムとは何だったのか  
作者: 早川紀代秀, 川村邦光
出版社/メーカー: ポプラ社
発売日: 2005/03
メディア: 単行本


オウム帝国の正体 
作者: 一橋文哉
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2000/07
メディア: 単行本


「宝島30」 1995年12月号 1996年1月号
スクープ!早川ノート原文入手!  オウム「11月戦争」の恐怖(前編)
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/aum2.htm 
早川ノートと理念なき「内乱」◆ オウム「11月戦争」の恐怖(後編)
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/aum3.htm
3月20日 午前5時 鴨志田穣氏 腎臓ガンにより永眠

と報道されているけれども、詳しくはちょっと違うらしい。
右の腎臓を癌で一年半前に取り、半年ほど前に平滑筋肉腫という癌が見つかり、余命幾許もないと宣告されていたらしい。

「カモのがんばらないぞ」より http://www.ozmall.co.jp/entertainment/kamo2/

「確率論から言うと無茶な話らしいんだけれど、今回で根治したいと考えているよ。そのためには二通りの考えがあって、悪い所をすべて取り除くか、抗ガン剤を初めに使って、せめて胸に転移した肉腫を消して、それから一番大きな副腎の摘出を行うか。医師は後者を選択したいみたいだ。どちらにせよ、俺は戦うよ。全摘が希望なんだ」



これが絶筆かな。 西原との出会について書いている。
http://homepage2.nifty.com/jyurousya/main_Folder/column_Folder/kamo_Forder/kamo14.html


厄年というか後厄だったんだな。

こんなのも発掘というか、しみじみ読み返してみたりする。

日々まんが #26 (2003/09/30) 
http://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d213637.jpg
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/women/etc/riezo/image/20061001.jpg
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/women/etc/riezo/image/20061105.jpg
今年の正月の映像らしいが…
http://www.youtube.com/watch?v=ZtxNP0_u6ec

ところで遺影はモヒカン頭なんだろうか

ご冥福をお祈りします。

【関連】
藤原新也について(3) 藤原新也は芭蕉である
http://londonbridge.blog.shinobi.jp/Entry/287/
  樹下の二人

――みちのくの安達が原の二本松松の根かたに人立てる見ゆ――

あれが阿多多羅山(あたたらやま)
あの光るのが阿武隈川。

かうやつて言葉すくなに坐つてゐると、
うつとりねむるやうな頭の中に、
ただ遠い世の松風ばかりが薄みどりに吹き渡ります。
この大きな冬のはじめの野山の中に、
あなたと二人静かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、
下を見てゐるあの白い雲にかくすのは止しませう。

あなたは不思議な仙丹(せんたん)を魂の壺にくゆらせて、
ああ、何といふ幽妙な愛の海ぞこに人を誘ふことか、
ふたり一緒に歩いた十年の季節の展望は、
ただあなたの中に女人の無限を見せるばかり。
無限の境に烟るものこそ、
こんなにも情意に悩む私を清めてくれ、
こんなにも苦渋を身に負ふ私に爽かな若さの泉を注いでくれる、
むしろ魔もののやうに捉(とら)へがたい
妙に変幻するものですね。

あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。

ここはあなたの生れたふるさと、
あの小さな白壁の点点があなたのうちの酒庫(さかぐら)
それでは足をのびのびと投げ出して、
このがらんと晴れ渡つた北国(きたぐに)の木の香に満ちた空気を吸はう。
あなたそのもののやうなこのひいやりと快い、
すんなりと弾力ある雰囲気に肌を洗はう。
私は又あした遠く去る、
あの無頼の都、混沌たる愛憎の渦の中へ、
私の恐れる、しかも執着深いあの人間喜劇のただ中へ。
ここはあなたの生れたふるさと、
この不思議な別箇の肉身を生んだ天地。
まだ松風が吹いてゐます、
もう一度この冬のはじめの物寂しいパノラマの地理を教へて下さい。

あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。




  あどけない話

智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。




NTTドコモのCM「智恵子のふるさと」篇に高村光太郎「智恵子抄」から「樹下の二人」の一節が使われていた。
http://www.docomo-tohoku.co.jp/pc/corporate/ad/index.html

そういえば今年は高村光太郎没後50年。 つまり著作権が切れる年だった。
早速青空文庫に掲載されている。 http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1168.html#sakuhin_list_1

私はこの「あどけない話」をしばらく、おじいさんと孫の会話だと誤解していた。 実は夫婦の危機が表されている詩だと知ったのは、もう少し後のこと。

「あどけない話」を最初に読んだのは1970年代初め。 当時は、光化学スモッグなど公害が社会問題していた頃。 「都会にきれいな空を取り戻そう」などというキャンペーンに使われていたような印象があった。
こんどは携帯のCMに使われるのかぁ、という感慨があるな。
智恵子抄というのは、男女二人のすれ違いの記録だと思うのだがなぁ。


ところで、NTTドコモのCMに出演しているのは宮崎あおい。 
nikon FM3a Ai Nikkor 45mm F2.8 を手作りストラップで愛用しているというのが、一部で有名だった。
今年からオリンパスのデジタル一眼レフのイメージキャラクターになるそうだ。
http://olympus-wonder.com/

オリンパスは青の発色が評判のようなので、タイアップしちゃうかもなぁ。
「ほんとの空を探して」というのでは、あまりにベタすぎるだろうけれども。
臍に湯をかけて一人夜中の温泉である

足のうら洗へば白くなる




尾崎 放哉:作家別作品リスト(青空文庫)


肋膜炎や結核を患い極貧の中に没した とか、酒で身を持ち崩した元エリートという、いかにも日本人好みの俳人だな。

放哉や山頭火のブームは定期的にあった。 
退職団塊世代むけに出版社がブームをしかけそうな、根拠のない予感がある。
小豆島尾崎放哉記念館は「知と癒しのミュージアム」ということだけど、そういう路線になっちゃうのかな。 
「病気でつらそう」というイメージが強くて、どこが「癒し」なのか、かなり疑問があるけれど。

「足のうら洗へば白くなる」は、解説によると衰弱して風呂に入れなくなって、足だけを洗ったときの句らしい。
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