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世紀の移る、ちょうどその時を私は生きている。
一枚の大きな紙から起こる風が感じられる、
神と、お前と、私とが書き、
見知らぬ者の手に高々とめくられる紙からの

その上でなおすべてのものの生まれ得る
新しい一ページの輝かしさが感じられる。

さまざまな静かな力が自分たちの広がりを調べている。
そしてたがいに暗く見かわしている


尾崎喜八訳



  嘆き

誰に向ってお前は嘆こうとするのか 心よ? ますます見すてられて
お前の道は 不可解な人々の間をぬって もがきながら
進んでゆく だがしかし それもおそらくは空しいのだ
なぜなら お前の道は 方向を
未来への方向を保っているからだ
失われた未来への
以前 お前は嘆いたのだろうか? あれはいったい何だったろう? あれは
歓呼(よろこび)の木から落ちた一顆(ひとつぶ)の実 まだ熟れていない実であった
けれども いま 歓呼の木は折れる
私のゆるやかに伸びていた歓呼の木が 嵐のなかで
いま折れる
私の眼に見えない風景のなかの
いちばん美しい木が。私を眼に見えない
天使たちに分からせていたあの一本の木が


富士川英郎訳





簡単な解説
ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke, (1875年12月4日 - 1926年12月29日)
最初の詩は「時祷集」から。 26歳の時、女流彫刻家クララ・ヴェストホフと結婚した頃の詩作です。 結婚生活は長く続かず、1902年にリルケはパリに移住します。
「輝かしさ」と「暗さ」が微妙に同居してる。

「嘆き」は1914年7月の作。 第1次世界大戦が始まった年です。
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