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  蛇使い

町の広場で 体をゆすりながら 蛇使いが
瓢箪笛を吹きならし ひとの心をかきたてては眠りこませるとき
それに誘われてひとりのひとが
屋台店の雑踏を脱けだし

すっかり笛の魔法の圏内へ足を踏み入れることがあるかも知れない
蛇使いはひょうひょうと笛を吹き鳴らし 吹き鳴らし
蛇をその籠の中で硬ばらせては
またうっとりやわらげる

代わるがわる驚かしては 鎌首をもたげさせたり だらりとほぐしたり
次第にそれはくらくらと目もくらむばかりになってくる――
そしてあとはもうただ一瞥で足りるのだ インド人は
お前の中にひとりの見知らぬ女の姿を吹きこんでしまう

そしてお前はその女の中で死ぬ ぎらぎらと燃えた大空が
お前のうえに倒れかかってくるようで お前の視野を貫いて
一すじの亀裂が走る 香油が
お前の北国の追憶のうえにひろがり

追憶はもうなんの役にもたたない お前を安全に守るどんな力もなく
太陽は沸きたち 熱病がまともに襲いかかってくるのだ
そして邪悪な喜びに竿のように硬ばった
蛇の中で毒液が光っている
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