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非常に興味深かったので、転載します。

「数年後には偶然に任せて子どもを産んだら、ひんしゅくを買う時代になるでしょう」
http://www.ambafrance-jp.org/IMG/pdf/Label_france49.pdf

ラベル・フランス(以下L.F.):現在、科学技術を見通すと、どのような懸念を抱かれるでしょうか?

ジャック・テスタール(以下J.T.):私はクローン人間づくりのように、根拠のない脅威をめぐる論争がマスコミを多くにぎわせているように思います。仮に近い将来、人間のクローンがつくられたとしても、その技術は手技の段階に長くとどまることでしょう。それほどクローン人間づくりは、私たちの倫理的、哲学的、文化的な原則と相反するものなのです。

他方、胚の選別といった他のより差し迫った危険を隠すために、クローン人間づくりの問題を振りかざしている政治家や研究家、企業家などもいます。このすぐにでも工業化が可能な技術は、人類の出現以来くり返し出現してきた、障害者の排除という古い幻想を蒸し返すきっかけとなりかねません。

今では、「DNAチップ」による遺伝子診断で、胚のゲノム情報を解析し、遺伝的異常の有無を短時間で特定できるようになりました。すでにイギリスのある検査企業では、この遺伝子診断を1日で行うサービスを1000ドルで提供しています。近い将来には1時間、10ドルで診断できるようになるでしょう。

L.F.:胚を選別する前に、いかに胚を大量につくるかという問題がありますが。

J.T.:それに関しては、精子が問題なのではありません。というのも、男性は一日通常2億個の精子をつくっていますが、受精に必要なのは一つだけだからです。要するに、問題の鍵を握るのは卵子なのです。女性は自然の状態では一月に一つの卵子しかつくれません。排卵誘発剤を使用してもせいぜい10程度にしか増えず、本格的に胚を選別するにはあまりに少なすぎます。

しかし現在、新しい技術が開発されつつあります。卵巣の小さな断片には何千もの卵母細胞が含まれていますが、それらを100から200の卵子に培養できることが知られています。

さらに言えば、5カ月目の胎児から細胞を取り出せれば理想的です。というのも、胎児は少なくとも500万の卵母細胞を持っているからです。小さな女の子から簡単な外科手術で卵巣のごくわずかな部分を採取して、凍結保存することも考えられます。彼女が後に大人になって子どもが欲しくなったら、パートナーとともに受精卵をオーダーした研究所を訪れ、そこで10、100と並ぶ受精卵の遺伝的プロフィールの中から、どれを選ぶかと聞かれることでしょう。その時に性別の選択もできるでしょう。完璧な赤ちゃんは永遠に無理でしょうが、それでも生物学的に恵まれた赤ちゃんが出現することになります。

L.F.:そこに市場があるのでしょうか?

J.T.:巨大市場です。というのも、先進国ではすべての妊娠にかかわってくるからです。体外で行われる検査や受精の数がどれほどになるかを想像してみてください。今のところ、人々はまだ偶然に任せる方がいいと考えています。技術の信頼性に問題があるというのがその理由です。とはいえ、こうした新しい考えにすでに慣れはじめているのも事実です。

10年、20年、30年後には、科学の進んだ近代社会で、最高の保証を得ることなしに、偶然に任せて子どもを産んだら、ひんしゅくを買うようになるかもしれません。こうした検査を受けなかった人には、社会保障から出産費用の払い戻しが受けられなくなる可能性すらあります。そして豊かな国々に限られた仮想エリートだけが、人類の「高い質」を備えるという異常な局面を迎えるまでになるでしょう。現在みられる進歩において最も憂慮すべきことは、人々がいとも簡単に人間は単なる遺伝子の産物であるという考えに納得しているということです。

L.F.:こうした行き過ぎを阻止するためには、どのような規制を設ければよいのでしょうか?

J.T.:私たちの同業者に対して、国の内外を問わず、現在フランスの国内法でのみ成文化されている規則の尊重を約束するよう提案しました。それは遺伝子診断は、「遺伝病の発生率の高い」夫婦間で受精した胚を対象に、それぞれ一つの遺伝性疾患のみを検査する、というものです。私たちが接触を図った臨床医の大半が、この提案に応じませんでした。

特にアメリカでは、民主主義と「夫婦の自由」に対する侵害であると非難する人もいました。事がここに至った以上は、もう後戻りはできません。もはや「生命倫理」は、技術分野の現実に人々を慣らすための言説にすぎないのです。

インタヴュアー エマニュエル・テヴノン


フランス外務省発行季刊広報誌「ABEL FRANCE」第49号・2003年1-3月
特集「バイオテクノロジー 人類の危機か?」 より
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