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笑えて泣ける、綺麗な風景が印象深い映画だった。
セルビア国境近くドリナ川が流れる山岳地帯の風景が、本当にきれいだ。

平凡な鉄道員の夫、アレルギー保ちで療養中のオペラ歌手の妻、有名サッカークラブのオファーを待つ息子、幼なじみの軍人、親戚の市長、郵便配達人、若いムスリムの看護婦、いい味出してる動物たち etc. 人物設定も楽しい。

たしかに寓意を読み取ろうと思えば、いくらでも仕掛けがありそうなのだが、それを抜きにしても充分に面白い。 ただ、有る程度予備知識がないと前半の描写は長すぎると感じちゃうかも。
この監督の映画は「アンダーグラウンド」しか見ていなかったけれど、題材が1992年ボスニアの田舎町ということで、ちょっと構えていたのだが、いい意味で裏切られた。
当時の状況を普通に描写するだけで微妙にシュールな雰囲気なるために、突拍子のない設定は必要なかったのかもしれないな。 いちおう実話を基にした映画ということになっている。

トンネルが完成したばかりでまだ列車は通らないので、手押しトロッコを使ってピクニックとか郵便配達するのが妙にほのぼのとして愉快。
そのうち戦争が激化するにつれ、様々な物(武器やら密輸物資、捕虜、麻薬なんかも)が鉄道で運ばれだして、やがて攻撃目標にもされたりするのだが…

時期柄サッカーについて。
主人公の息子はベオグラード・パルチザンのジュニアに以前所属していて、そこからのオファーを期待して田舎チームで頑張っているという設定。 忘れられてるのでは、と不安を口にする息子に友人が答える。

「ベオグラードの監督は物覚えがいい」

この監督は、オシム氏のことだったりする。

父と息子の会話。
息子「ナポレオンの試合の勝因は」
父 「戦争だろ?」
息子「そう 彼は敵の前線に自軍がいつ達するか計算して戦った。 速さが命だ」

オシム監督は一貫して「賢く走る」サッカーを言っていたんだろうな。
スタジアム乱闘シーンも、どことなく有名な実話を髣髴とさせる。
ベオグラード・パルチザンのオファーを待っていたのに、代わりに召集令状が届くというのは、パルチザンの意味を思うと笑うしかないジョークだ…

日本の鉄道普及率に対しての言及、「"ヒロシマ後"は もう理論はない」という軍人の言葉など、日本への微妙な親近感(?)もあったりする。 おそらく極東軍事裁判とも、これから比較されるのかもしれないな。

戦争を背景とした普通の恋愛映画としても面白いし、風景が美しいし、ロバ・猫・犬・クマ・家禽などの動物も楽しい。
あれこれ寓意を読み取るのも、また勝手だろうけれど、とにかくいい映画でした。


「ライフ イズ ミラクル」
http://www.gaga.ne.jp/lifeismiracle/

これがオフィシャルサイトにトラックバックされれば、私もブログ・ジャーナリストだぞっと(謎
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参考にさせていただきました
投稿者:chiyo HP 2006/07/20 21:22 EDIT
Comment色々な角度から見られる幾層にも重ねられた、でも軽快さも備えた作品でしたね。私の記事を書くにあたり、この記事を参考にさせていただきました。ご報告です。http
          
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