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 ある編集部からの手紙

「貴下の感動的な詩に対し厚く感謝いたします。
それはわれわれに深い印象を残しました。
しかし当方の紙面にはやや不向きに思われるのは
まことに遺憾に存じます」

こういうふうにどこかの編集部が毎日のように
書いてよこす。つぎつぎと新聞雑誌が逃げを打つ。
秋の香(にお)いがする。零落の子は
どこにも故郷がないことをはっきり悟る。

それで自分のためだけ、あてもなく書き、
まくらもとの小卓の上のランプにそれを読んできかす。
たぶんランプも私に耳をかさないだろう。
だが、明るくしてくれて黙っている。
それだけでもとてもありがたい。




高橋健二訳
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