忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

生きて復かへらじと乗るわが車、刑場に似る病院の門。

悪龍(あくりよう)となりて苦しみ、猪となりて啼(な)かずば人の生み難きかな。

蛇の子に胎を裂かるる蛇の母そを冷くも「時」の見詰むる。

その母の骨ことごとく砕かるる呵責の中に健き児の啼く。

胎の子は母を噛むなり。静かにも黙せる鬼の手をば振るたび。

よわき児は力およばず胎に死ぬ。母と戦ひ姉と戦ひ。

あはれなる半死の母と呼吸せざる児と横たはる。薄暗き床。

その母の命に代はる児なれども器の如く木の箱に入る。

虚無を生む、死を生む、斯かる大事をも夢と現の境にて聞く。

男をば罵る。彼等子を生まず命を賭けず暇あるかな。



http://www.aozora.gr.jp/cards/000885/files/705_18842.html
双子を妊娠し一人死産だったときのことを綴った随筆のなかの短歌です。
青空文庫に掲載されています。 それほど長い随筆では有りませんのでお勧め。
明治期の出産事情として読むことも出来ます。
PR
          
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
Copyright ©  -- 倫敦橋の隠れ里 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by 妙の宴
powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]