忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  序詩

名に恥じぬ古い時代の《聖人》たちは
信じておった(当たるも八卦)、
天空に吉凶禍福読みとりうると、
星の運勢身に受けて人は各自(てんで)に生まれくると。
(夜空にさぐる星占(ほしうら)の神秘の説も、幾度か、
深い心は解し得ぬ浅墓びとには嘲笑(わらわ)れた)
さるほどに神降(かみくだ)し占者(うらない)たちの飯の種
(まが)つ土星の気を受けて生まれた者の一生は
不幸苦労のどちらにも事は欠かぬと
何やらの古文書に見えているとか。
病的な《空想力》が働きすぎて
《理性》の努力も無駄とやら
此奴らの血液たるや、毒薬ほど利(きき)がよく
溶岩ほども燃えていて、乏しいままに沸きたち流れ
悲願の《理想》焼き亡ぼすと。
《土星の子ら》は不幸(ふしあわせ)、生きるも死ぬも不幸
(不死の奴なら別格だとさ)
生涯の構図の線をことごとく
悪い《感化》が引くからだとさ。



ヴェルレーヌ処女詩集(Po`emes saturniens)
堀口大學訳
PR
          
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
Copyright ©  -- 倫敦橋の隠れ里 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by 妙の宴
powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]