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思ってるのより口で言ったことのほうが悪いかもしれないわね。だってあたしの考えでは、あなたはそれほど死にたいんじゃなくて、それより、そうまわりの人たちに思いこませて、家の中で大将になって、悲しんでいるお母さんを苦しめたいのよ。あなたが命を縮めたがっていると単純に思いこんでいるランドリを苦しめたいのよ。あたしはだまされませんよ、シルヴァン。あたしはね、あなたのことをほかの人たちと同じに、いやほかの人たちよりずっと死ぬのをこわがっていると思うし、あなたをかわいがっている人たちをこわがらせて喜んでいるんだとおもっているのよ。死ぬつもりだっておどかすと、いちばんもっともな、一番必要なものごとがひっくりかえってしまうのを見て、喜んでるのよ。まったく、ひとこと言いさえすれば、まわりのことがなんでも自分の思いどおりになるのは、とても便利だし、気持ちがいいわね。そんなふうにして、あなたはここではみんなを支配しているのよ。だけど、それは自然に反しているんだし、神様のお許しにならないやり方でそうしているんだから、神さまがお罰しになって、我を張らずにおとなしくしていたらなるはずがないほど、あなたを不幸になさっているのよ。それだからあなたは楽しく暮らせるように生まれていながら、ゆううつにくらしているんだわ。どうすればあなたが気だてのいい、おとなしい人になれたが、言ってあげましょうか、シルヴァン。両親がうんとつらく当たればよかったのよ。ひどく貧しくて、毎日のパンにもこと欠いて、そのかわりぶたれることは多いってふうにね。もしあなたがあたしやあたしの弟みたいに育てられたら、恩知らずになるどころがわずかなことにも感謝するようになったでしょうね。




「愛の妖精」
ジョルジュ・サンド作/篠沢秀夫訳
http://www.gutenberg21.co.jp/fairy.htm

「デジタル書店 グーテンベルグ21」で冒頭部分が立ち読みできるけれど、冒頭だと退屈な「田園小説」としか思えないだろうな。
ツンデレというかツンツンというか、恋をしてきれいになる女の子のお話でもあるんだけどなぁ。

ほんとは、ヒロインの少女ファディットが自分のことを語る部分の方がもっと面白いのだけれど、なんとなく、こっちの方を引用。
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