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臍に湯をかけて一人夜中の温泉である

足のうら洗へば白くなる




尾崎 放哉:作家別作品リスト(青空文庫)


肋膜炎や結核を患い極貧の中に没した とか、酒で身を持ち崩した元エリートという、いかにも日本人好みの俳人だな。

放哉や山頭火のブームは定期的にあった。 
退職団塊世代むけに出版社がブームをしかけそうな、根拠のない予感がある。
小豆島尾崎放哉記念館は「知と癒しのミュージアム」ということだけど、そういう路線になっちゃうのかな。 
「病気でつらそう」というイメージが強くて、どこが「癒し」なのか、かなり疑問があるけれど。

「足のうら洗へば白くなる」は、解説によると衰弱して風呂に入れなくなって、足だけを洗ったときの句らしい。
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耳の穴をかっぽじいて、よく聞くがよい。
それがし、「流言」が大声でわめき立つるとき、
何人(なにびと)か、その耳を塞(ふさ)ぎうるものがありえようや?
日出づる東(ひんがし)の方よりして、日没する西の果てまで、
(と)き風はすべてわが御(ぎょ)する早馬、この世に生まるる
諸々(もろもろ)の所行は、のこらず伝え弘めるが、それがしの役目(つとめ)
(そし)り、誹謗、それらをことごとくわが舌三寸にのせ、
ありとあらゆる世の言葉にかえて、およそ偽りの流説(るせつ)を、
たえず世の人々の耳に詰めこもうというのが、わが魂胆、
たとえば、平和、泰平をそれがしが口にするとき、
まさしくそは、隠れし敵意を微笑の仮面に秘めて、
世界を乱そう寝刃(ねたば)を研ぎすましているときなのだ。
かと見ればまた、いまにも険(けわ)しい戦雲を孕(はら)んで、
すわこそ動乱の兆(きざ)しとばかり、おそれあわてて軍勢を催し、
すっかり防御の態勢を固めるが常。しかし、その実、
さような事実など、微塵(みじん)もないというこれが空騒ぎ。
これまたすべては「流言」、すなわち、それがしの仕業(しわざ)なのだ。
「流言」とは、ただ疑心、憶測、猜疑(さいぎ)の吹き鳴らすラッパ――
かの大衆と呼ぶ白痴(こけ)の怪物、ふらふら腰の衆愚どもが、
無数の頭をふり立てふり立て、いとも安易に吹き立てる雑音、
不協和音にすぎんのだ。 もっとも、お互いは仲間うち、
いまさらそれがしの身上(しんじょう)を説いて聞かせる必要もあるまいが、



ヘンリー四世 第二部 幕開きの口上より
中野好夫訳
  勧告のバラッド


堕落して、思慮分別を失って、
根性はひがみ、智慧は働かず、
常識が缺けて、道理の判らぬ 男たちよ、
生まれながらの本性に背いた仕事をやつている、
途方もない馬鹿、無知の充満した阿呆ども、
卑怯未練な心から 厭でたまらぬ死に屈従
している奴等よ、ああ、君たちを恥辱の中に
陥れる醜さが なぜ君たちに悔恨を起こさせないのか。
如何に多くの若者が 他人(ひと)の所有の財寶を
奪ひ取らうとして死ぬか、よく鑑(かんが)みよ。

人 各々は 過ちを自分の中に 看(かへり)みて、
復讐をしてはならない、じつと耐(こら)へよ、
俺たちは この世が牢屋であることを よく知つている。
だからと言つてその為に、短氣でない有徳の人は
ぶつたり、蹴たり、攫(さら)つたり、盗んだり、掠奪したり、
無法に人を殺(あや)めたりするのを、正しい道とはしない。
かういふ非行に 青春を過ごす輩は
神からは 見棄てられ、眞理には 全く反(そむ)いて、
揚句の果ては、他人(ひと)の所有の財寶を
奪ひ取らうと 拳骨や腕を捩(ねじ)つて苦悶する。

ちよろまかし、お世辞をつかひ、裏切つていながら笑ひ、
お恵みを乞ひ、嘘をつき、確信も無いのに断言し、
からかつたり、瞞(だまか)したり、毒藥を調合したり、
罪を犯した生活をして、隣人を信用せずに
疑心を抱いて眠つたり、そんな事が何にならうか。
そこで俺は結論する。 善を行ふ努力をしよう、
勇氣を振ひ起さう、神の励(はげ)ましに応へよう、
俺たちは安堵する日が一週に一日もなく、
他人(ひと)の所有の財寶を 奪ひ取らうとする俺たちの
悪事の因果応報は 親兄弟にも跳辺(はねかへ)つて来る。

平和に暮らさう、確執を絶滅しよう。
若者も老人も、皆、一致して和合しよう。
神の掟(おきて)がそれを望むのだ、使徒パウロは
適法的に 羅馬書(ロマしょ)の中に さう語る。
俺たちに必要なのは、秩序と、身分や信頼だ。
それらの点に氣を附けよう。他人(ひと)の所有の財寶を
奪ひ取らうとして真の神の港を失はぬやうに。



鈴木信太郎訳


http://ja.wikipedia.org/wiki/フランソワ・ヴィヨン

雑詩篇からの一節。
『形見の歌』『遺言詩集』から一説引用しようかなとも思ったけれど、なんか時期はずれのような気がしたし、妙に長いからやめた。


おはよう、明日は聖バレンタインさまの日


明日は聖バレンタインの日
朝も早くに
私のような乙女もあなたの窓辺に立って
あなたのバレンタインになる。

起きた彼は服を着て
扉を開ける
入るときは生娘だけど出るときは女

神様!なんてひどいんでしょう!
若い男はみんなそう、ヤリたいだけ。

結婚するっていったでしょ、押し倒す前に。
「そのつもりだったさ、俺のベッドに来なきゃな」




To-morrow is Saint Valentine's day,
All in the morning betime,
And I a maid at your window,
To be your Valentine.

Then up he rose, and donn'd his clothes,
And dupp'd the chamber-door;
Let in the maid, that out a maid
Never departed more.

By Gis and by Saint Charity,
Alack, and fie for shame!
Young men will do't, if they come to't;
By cock, they are to blame.

Quoth she, before you tumbled me,
You promised me to wed.
So would I ha' done, by yonder sun,
An thou hadst not come to my bed.



ハムレット 第4幕 第5場



CD も出てます。
R.シュトラウス:3つのオフェーリアの歌   平松英子
http://www.amazon.co.jp/R-シュトラウス-3つのオフェーリアの歌-平松英子/dp/B00005HSTO/

こっちは少しだけ試聴できます。
Richard Strauss: Ophelia-Lieder, Op. 67; Enoch Arden, Op. 38; Piano Sonata, Op. 5; 5 Piano Pieces, Op. 3
http://www.amazon.co.jp/Richard-Strauss-Ophelia-Lieder-Sonata-Pieces/dp/B0000028O4

ドイツ語訳だと「おはよう、今日は聖バレンタインさまの日」となっているな。

ちょっと、時季はずれになってしまったかも
 

 おそろしく醜い男が入ってきて、鏡の中の自分を見詰めている。

 「――どうして鏡を見詰めるんですか、不快な思いをするだけなのに?」

 おそろしく醜い男は私に答える、「――それはですね、一七八九年の不滅の原理によれば万人は権利において平等である、故に私にも、鏡に己を映す権利がある、快か不快かは私の意識次第、というわけです。」

 良識の名において、私は正しかった。が、法律の観点からすれば、彼も誤ってはいなかった。




 

 港は、人生の闘いに疲れた者にとって、魅力的な滞在地である。空の広がり、雲の移動建造物、海の変幻自在な色彩、灯台のきらめき、それらは、決して目を退屈させることなく、楽しませるのにすばらしく適したプリズムだ。それぞれに複雑な艤装を凝らした船のすらりとした形、それらの船に波が調和のとれた振動を与える様子は、魂の中に、律動と美への好みを保たせるのに役立っている。それに、とりわけ、もはや好奇心も野心ももたぬ者にとって、あずま屋に寝そべったり防波堤に肱をついたりしながら、出発する者たちと帰還する者たちの、いまだに意欲する力と旅や富への欲求とをもつ者たちの、あれらすべての動きを眺めていることは、一種神秘的で貴族的な快楽なのである。





山田兼士 訳

http://homepage2.nifty.com./yamadakenji/spleen40.htm
http://homepage2.nifty.com./yamadakenji/spleen41.htm
からの転載。 解説もそちらにありますので、ご一読を。

この短い二つの散文詩は、見開き2ページに並べてみれば「対位法」の関係にある、という事なので、2編とも載せてみた。

「鏡」ではおそろしく醜い男良識法律が対位法で書かれているが、全体としては「不快」に関しての散文詩。
「港」は、眺めるだけの詩人元気な港の人達が「対位法」だけれど、「快感」について書かれています。
二つの散文詩を見開きページで読むことで、「不快」「快感」についての散文詩という読み方ができます。

「港」を改編して「web」なんてのを作ってもいいかも…などと思った。(作らないけれど)
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